古酒へのこだわり


山川酒造では、良い古酒を造るために素材・仕込みにもこだわりを持っています。

ここでは、仕込み段階でのこだわりをご紹介します。


古酒に大切な米と水

この三角棚で黒麹菌を育てる
この三角棚で黒麹菌を育てる

泡盛造りに使用するタイ米には「砕米」と「丸米」があり、砕米は米を砕いたもの、丸米は一粒そのままの米のことを指します。

昔、泡盛はすべて砕米で造られていました。

それはかつて日本は海外からの米の輸入制限が厳しく、食用のインディカ米はほとんど輸入されていなかったため、酒造り用のインディカ米は食用への転用を防ぐため海外であらかじめ砕いたものを輸入していたからです。

しかし1993年に平成の米騒動があった際、インディカ米が大量輸入され、その頃から食用の丸米が手に入るようになりました。

山川酒造でも以前は砕米を使用していましたが、比較的質の良い丸米を選んで使用するようになりました。


丸米を使い続ける理由

長年使い続けている丸米
長年使い続けている丸米

そこで、輸入解禁後さっそく形・色ともにきれいな食用の丸米で仕込みをしたところ、丸米のほうが仕込み中に酒の甘味となり、でんぷんが外に流れだすことが少ないことと、品質の良さから今までとは段違いにまろやかで甘い泡盛が出来上がりました。

 

当時は丸米は希少なこともあり、比較的高価でした。
コストが高くても良い酒を造るため、すぐ丸米を使うことに決めました。

 

丸米は砕米に比べ表面積が少ないので、浸漬時間が長かったり、麹菌がつきにくかったりと仕込みに時間も手間もがかかりますが、良い酒を造るため使い続けています。


自社の水源

山川酒造の裏に流れる湧き水
山川酒造の裏に流れる湧き水

もう一つ酒造りに大切な素材は、水。

山川酒造は、やんばると呼ばれる沖縄本島北部の自然豊かで水が豊富な地域にあるため、自社で水源を所有しています。

山から湧き出る豊富な清水は、カルシウム等のミネラル分が含まれており、出来上がった酒は複雑で味わい深いしっかりとした酒になります。

 

良い古酒を造るためには、若い酒から良い酒になるようにこだわることが必要不可欠です。

 

素材からこだわることにより、長い時を経て良い古酒が出来上がるのです。



常圧蒸留と常温濾過

単式蒸留器での常圧蒸留
単式蒸留器での常圧蒸留

お酒の蒸留方法には「単式蒸留」と「連続式蒸留」の2種類があります。泡盛の蒸留方法は、かならず「単式蒸留」で行われます。

発酵したもろみを蒸留釜で熱し、アルコール分を含んだ蒸気を冷やしてお酒にするというシンプルな製法です。

この「単式蒸留」の中には、「常圧蒸留」と「減圧蒸留」という2種類の蒸留方法があり、「減圧蒸留」では、蒸留釜の内部の気圧を下げて蒸留する方法で、気圧を下げたことにより本来100度で沸騰するところ、40度~50度で沸騰する仕組みになっています。

低い温度で蒸留するため、クセがなく、すっきり飲みやすいソフトな泡盛ができあがります。 


常圧蒸留

蒸留中に吹き出す蒸気
蒸留中に吹き出す蒸気

一方、山川酒造では古酒を熟成させる成分をなるべく多く抽出するため「常圧蒸留」を用いています。

常圧蒸留とは昔からある手法で、その名のとおり常圧で熱を加え、蒸気を集めるシンプルな蒸留方法です。

高い温度で沸騰させると酒本来の個性やコクの素となる成分や、熟成するときにバニラなのような甘い香りに変化する香気成分が気化すること、また、熟成香気成分であるフルフラールなどの二次生成物などを多く抽出することができます。

そして、蒸留した後の泡盛には、不純物や余分な成分が含まれているため必ず濾過が行われますが、余分な成分だけでなく、熟成後にコクや古酒独特の香りに変化する高級脂肪酸など、古酒の熟成に必要なさまざまな成分も含まれているため、濾過をどの程度かけるかによって酒の味は大きく変化します。


ろ過も大切な工程の一つ

濾過後に泡盛を保管するステンレスタンク
濾過後に泡盛を保管するステンレスタンク

濾過にも「常温濾過」と「冷却濾過」という2種類の方法があり、「冷却濾過」では、酒の温度を下げ、表面に固まってきた不純物や脂分を取り除くため、しっかりと濾過することになり、雑味がとれすっきりと飲みやすい泡盛を造ることができます。

山川酒造では、すっきりとしたした味わいの泡盛を造る際は「冷却濾過」を用い、古酒の熟成のため成分をなるべく多く残したい場合は「常温濾過」を用いています。「常温濾過」では、常温でシンプルに網目の大きい布で余分な成分は取り除きつつ、熟成に必要な多くの成分が残るように最低限に抑えろ過をしています。

多くの成分を残すことで泡盛独特のクセが強くなりますが、熟成させることで香り高いく芳醇な味わいに変化します。

蒸留や濾過は貯蔵前の大切な工程。

ここで、古酒の成分を多く抽出し、残すことにより何十年という長期貯蔵をしたときに、古酒独特の甘い熟成香を放ち、まろやかでコクのある味わいを生み出すことができます。 



仕次ぎについて

大切に保管されているたくさんの古酒甕
大切に保管されているたくさんの古酒甕

美味しい古酒を造る製法に「仕次ぎ」というものがあります。

古酒はただ新酒を長い期間寝かせていればできるものではありません。

蔵で働く人々が永い年月愛情を注ぎ手入れをし、より味わい深い古酒を熟成させる方法が「仕次ぎ」です。


仕次ぎの方法

仕次ぎは、甕に仕込んだ年数の違う古酒をいくつか用意し、一番古い親酒を汲み出し、それより少し若い2番甕の酒を親酒に注ぎ足し、2番甕にはそれより若い3番甕の酒を足していきます。

年代物の古酒にそれより若い古酒を注ぎ足すことで熟成した香りや芳醇さを深めながら酒の質を保つ方法です。

仕次ぎを行う頻度、量などにより古酒がどう育ち、変化していくのかが変わっていきます。

 

そのため、ただ古い酒に若い酒を足していけばいいわけではなく、職人が味をみてどの時期にどのくらいの量を仕次ぎするかをしっかり見極めて仕次ぎを行います。また、甕の保管環境も古酒の育成において大切です。一定の一番良い環境で保管しています。


伝統的な仕次ぎ方法で造られた古酒

職人による伝統的な仕次ぎ
職人による伝統的な仕次ぎ

ここでいう伝統的な仕次ぎ方法とは、タンクではなく昔ながらの古酒甕で仕次ぎ。甕で熟成させることにより成分が溶け出し、タンクで作られた古酒よりも口当たりが柔らかい古酒が出来上がります。

山川酒造では、古酒甕での仕次ぎを毎年行なっており、職人がひと甕、ひと甕手入れをしながら、攪拌し、度数の確認をしながら慎重に作業します。

 

古酒甕で昔ながらの製法で造られた親酒に入っている1番古い古酒は1992年蒸留のもので自慢の逸品で、一度試してみる価値ありです。

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  • 長期熟成甕貯蔵古酒 長寿伝説 GOLD 42度500ml
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